GROUNDING TREE
CONCEPT
■現代の鉄塔
大阪市長居植物園内に計画した塔の計画である。古代から塔は、ストゥーパ、イスラムのミナレット、西欧の時計塔や鐘塔から現代の電波塔そしてオフィスビルまでそれぞれ意味(機能)を変えながら存続し続けてきた。1970年の大阪万博では、岡本太郎は、近代化の中技術進歩主義であった日本に警鐘を鳴らすように縄文文化を象徴する太陽の塔をつくり、それはいまも尚資本主義が加速する現代社会に問いを投げかけている。今回我々が計画したグランディングツリーは、これからの「人間と自然の共生関係」を問う塔として、五輪の塔のように、自然界の森羅万象(大地、水、空、風、光、生命)を捉えるための建築をつくろうとした。
この建築は、樹木の生態のバイオミメティクスデザインから計画された鉄の塔である。9枚の湾曲した鉄のスラブを9本のうねる鉄骨柱と地上につながる大柱で支え、各スラブには、地域種の植物による屋上緑化を施している。3本の柱の上部はラッパ状に広がり、雨水を集め、貯水タンクに一旦貯められる。その後水は植物の維管束のように柱の中を通り、各スラブに導かれ、屋上植栽のための底面灌水として貯水される。各床からオーバーフローして地下タンクに導かれた水は、上部の風車の力で揚水され、インフラに頼らない水循環を形成している。
人々が、地上から階段で空へと上昇していくと有機的な床スラブとうねった柱によってできた有機的で力強い空間を体験することになる。各スラブの樹木はまだ小さい苗木ではあるが、そのいくつかは強い生命力によって大きく成長していくであろう。
昨今の建築は機能(プログラム)があるのが当たり前であるが、この建築には展望や学習という朧げな役割はあるが、それ以外の機能と呼べる機能はない。しかし、パルテノンやパンテオンなど機能を超えて人々を魅了し続ける建築・空間に、建築の本質があるのではないだろうか。
このグランディングツリーは、人々が周囲の森や空と心身ともにシンクロする状況をつくる有機的な空間を備え、周辺の森の一部となる樹木のような建築として人々の記憶に残り続けることを願っている。
■宇宙と大地とつながる、一本の樹木のような建築
○Gruounding Tree
Groundingとは、大地とつながることを意味する。自己のエネルギーと大地のエネルギーを接触させ、宇宙とつながることをも意味する。地に足をつけ、しっかりと立つとき、大地のエネルギーが、自らも影響を与えられながら存在しているように感じる。そのような意識の中、「人間」と「大地」とを隔てて考えられないエネルギーの大循環が存在し、我々人間もその一部を担っていることに気づく。
このグラウンディングツリーが周囲の自然と人間のつながりを意識させる建築となることを目指した。
○樹木を植えるような建築計画
大阪にある植物園の里山ひろばの中で、訪れた人が自然の中に身体を投じる物見台の計画である。また、訪れた子どもたちが五感で自然を感じられる教育装置としての機能も求められた。この建築は、一本の樹木が植樹されるように計画を行い、樹木が持つ様々なシステムを模倣することで成り立つ。周辺の樹木と調和した環境を形成し、また、建築自らが周辺環境と共に小さな循環をつくる。そこに棲みつく様々な生き物たちと寄り添いながら、人間と自然が一体となることができる建築である。
○HOUSE 01
大阪市淀川近くに位置する約9坪の狭小地に夫婦2人のための住宅の計画。「自然」の一部としての建築のあり方を探るための実験住宅である。この住宅は個に閉ざすことなく周辺環境の一部として計画し、住宅独自に持続可能なシステムを持つものとする。この空間は蔓の様に絡み合いながら上昇する柱によって支えられる。柱によって支えられた空中に浮かぶスラブには土が盛られ、この地域に育ってきた多種の植物の種子が植えられ、可能な限りの緑化が試みられる。構造となるスチールパイプはインフラの導管として機能し、最小限の設備ラインを内臓し各階に供給する。この建築は生活に必要なエネルギー源を都市インフラに完全に依存するのではなく、自然エネルギーを活用し、樹木のようにエネルギーを循環させるシステムを持つ。外部と内部を隔てる壁は一切なく、可変的な膜材によって領域がつくられる。
○生命の構造体 “葉脈構造” “つる構造 ”
この空間をかたちづくるのは大地に根ざし、天に向かって伸びて行く“生命の構造体”である。互いに相関しながらつるのようにうねって空に伸びる9本の柱は、生命のための9枚の人工地盤を支え、ダイナミックな空間をつくる。全てコールテン鋼による鉄骨造であり、時間と共に風化しながらも風景に溶け込む構造である。
人工地盤の各スラブは、葉脈のようなコールテン鋼によるリブによって支持され、内部に土を充填することによって、土壌基盤をつくっている。将来の移設の可能性も考慮し、コンクリート類は一才用いず、基礎も鉄骨+鉄板と鋼管杭によって大地としっかりとつながるように計画した。
○風による水循環
自立した建築とするために、インフラフリーとなる計画ができないか模索した。
また、里山のような水循環を都市の中で構築できないかを模索し、植物の維管束の構造を応用した。降り注ぐ雨水を屋上で収集し、上部のタンクに貯水し、各床に柱の内部をつたって供給する。建築周辺に降り注いだ雨も地盤面に設けた地中タンクに貯水し、風車で揚水することで水循環を形成している。
○底面灌水システム
各スラブでは植物がおこなっている毛細管現象を模倣し、植物たちが必要な分だけの水を土に共有し、
根腐れしない、且つ、最小限の雨水での管理が可能となるようなシステムとした。スラブ下部には雨水が貯水され、植物の根が水に浸かっている土から浸透圧によって吸水する。
○植栽計画
不用意な遺伝子錯乱を避けるため、他所からの植物は入れず、植物園内にあるものを最大限に活かした種類の選定を最優先で行なった。植物園内で採取した種から発芽させ、大和川流域の植生を立体化させる計画とした。
○構造体施工
有機的な形状の鉄塔建築は、造船技術を持つ技術者によって制作された。3次元に曲がる柱は、プレスによって曲げた柱を溶接してつなぎ、お椀型のスラブは加熱曲げを行った後溶接で接合していった。
車両運搬できる大きさに分割して一体制作し、工場で一度仮組した後現場に運搬して一体的に組立・溶接を行った。
| LOCATION | Osaka City,Japan (Nagai Park) |
|---|---|
| CATEGORY | PUBLIC |
| TYPE | - |
| DATE | 2024 |
| STATUS | completed |
| SCALE | 28.95m² |
| STRUCTURE | STEEL |
| CLIENT | YANMAR |
| CONSTRUCTOR | DAIWA CONSTCTION |
| COLLABORATORS | Hirokazu Toki (University of Shiga Prefecture), Shunya Takahashi |
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